Talk Session ~ KATARU × 伊藤 毅

やっぱり信頼性と持ちの良さですね(伊藤 毅)

 さて、伊藤さんにも愛用いただいている弦についてお伺いしたいのですが、まずそもそもなぜロトサウンドを採用されたのですか?

伊藤:僕は以前他のメーカーの弦を使っていたんですけど、そのメーカーはたまにハズレ弦が入っていたんですよ。張ろうとして気付いて、“あぁ…”ってなっていたんです。でも、ロトサウンドは僕が知る限り一度もそういうことがないんですよ。信頼性ですね、一番は。…ハズレってないでしょ?

KATARU:ないですね。

伊藤:僕もまだ1回もハズレに当たったことがなくて。他のメーカーは割とハズレの弦が入っていることがあるんですけど。あと、ロトサウンドの弦は不思議なことに、弾かないと劣化しないんですよ。張ってから置きっ放しにしておいても変わらないんです。不思議。弦の持ちが良いと思いません?

KATARU:すごく良いです。

伊藤:だからレコーディングでも、その当日はもちろんレコーディングをした週ぐらいは大丈夫です。

KATARU:僕はライブ2、3回やっちゃいますよ。僕はすごく手汗をかくので、本当は毎回張り替えたいぐらいだったんですよ。でも勿体ないから2回やろうかな、みたいな(笑)。以前はそんな感じだったんですけど、ロトサウンドの弦に変えた今、本当に劣化しないです。Ultramagはすごいです。

伊藤:ロトサウンドの弦って、最初からあまり音がビンビンし過ぎていないじゃないですか。他のメーカーの弦は張ったら最初は張り立ての音がしますけど、ロトサウンドはあまり変わらなくて、そこから(音質が)下がりもしないっていう。

KATARU:そうですね、そのイメージです。

伊藤:極端なことを言うと、レコーディングとかでベースを弾いて、次の日一か所だけ差し替えたいとなった時でも、前日録ったテイクと音が違っちゃっているということがロトサウンドはないんです。次の日くらいだったら大丈夫。他のメーカーだと明らかに音が違うから、パンチインする時はもう1回張り替えないといけないんですけど。だからDTMユーザーにも個人的にオススメしています。やっぱり信頼性と持ちの良さですね。ロトサウンドで切れたこともないですし。僕は家に張りっ放しベースというのがあるんですけど、そのベースにはロトサウンドのラウンド弦を1年ぐらい張りっ放しにしているんです。でも、ちゃんと拭いていれば錆びないし、音も良い具合に劣化しているんですよ。それぐらい信頼性が高いです。

 ありがたいお言葉です! お二人とも絶賛してくださっていますが、ロトサウンド弦の持ちの良さは他社の弦と比べても全然違うのでしょうか?

KATARU:僕は本当に手汗をかくので、ライブの時にべちゃべちゃになるんです。だから、ダメになっちゃう弦はすぐにダメになっちゃうんですよ。僕は張り立てが大好きなんですけど、Ultramagはバキバキの張り立て状態がずっと続くんです。

 中でもUltramagは特に、高寿命な点も製品の特徴なんですよね。

伊藤:ステンレス弦と比べてもUltramagは寿命が長いですか?

KATARU:長いと思います。いつ張り替えたら良いのかなって思います(笑)。

伊藤:なるほど(笑)。僕は大体2時間のステージでも2、3回目で張り替えます。張り続けてライブ3回目ぐらいになると、弦がちょっと柔らかくなるような気がして…。ロトサウンドの特徴なんですけど、張ってからしばらく経つとちょっと硬さが変わるんですよね。張り立ての硬い感じも良いですし、しばらくして柔らかくなった感じも良いんですけど、少しタッチが変わるので3回目ぐらいで張り替えている感じですね。音質やタッチを気にしなければ、もっと持ちますよ。錆びにくいですし。

 そうなのですね…! 話を少し戻しまして、伊藤さんが元々使っていた弦からロトサウンドに切り替えたきっかけは?

伊藤:20年ぐらい前かな…。以前使っていたメーカーの弦のハズレが多くなっちゃったのと、その当時は巻いていない真っ直ぐの弦を買っていたんですよ。巻いてしまうと劣化するような気がして…そんなことはないと思うんですけどね。ただ、そういうのが面倒くさくなってきた時にロトサウンドに出会って。ロトサウンドと言えば、それこそ冒頭で話題に出たジャン・ジャック・バーネルやジョン・エントウィッスル、ジャコ・パストリアス、ジョン・ポール・ジョーンズですとか、枚挙に暇がないとはこのことだと言わんばかりにレジェンド達が使っているじゃないですか。じゃあ僕も…っていう。

KATARU:昔からの信頼があるんでしょうかね。

伊藤:そうでしょうね。だって、ジョン・エントウィッスルが開発に携わっていますし。やっぱりあれぐらいビンビンしていたいじゃないですか、僕たちは(笑)。

KATARU:本当にね(笑)。ベースもビンビン言わないといけないですよね、やっぱり。

 (笑)。伊藤さんはステンレス弦を愛用してくださっていますが、他社のステンレス弦を使ったことはございますか?

伊藤:他のメーカーを使っていた時代はステンレスとニッケルの両方を使っていて、最終的にはニッケルを何年か使っていました。下手くそだったから、ステンレス弦で弾くとなんかうるさいと言うか、いらないところが出るなぁと思っていたんです。ステンレスだとノイズっぽいところが多いと思ってニッケル弦にしていたんですけど、ロトサウンドのステンレス弦を使うようになって、別に種類は関係なかったなって思いました。結局ベースの腕じゃんって(笑)。だから極論はどちらでも良いという気になっていたんですけど、何年か前に久しぶりにニッケルを弾いたらちょっと地味だなと感じたので、ならステンレスかなと。あとはやっぱりジョン・エントウィッスルがステンレス弦だから、じゃあステンレスだねっていう…そういう理由で使っています。

 ニッケルが地味だと感じたということですけど、ステンレス弦の音の方がお好きだったんでしょうか?

伊藤:そうですね。結局若い頃はそれがちゃんと鳴らせていなかったんだと思うんですけど、今はもう50代後半ともなるとピッキングがふにゃふにゃですから(笑)。それでステンレス弦がちょうど良いんだと思います。だからRS66LDで良いと思っていたのに、KATARUくんがUltramagを教えてくれたから…(笑)。

 ここに来て、新たな弦に巡り合ってしまいましたね(笑)。ちなみにステンレスの弦は手触りが独特かと思うのですが、その点はいかがでしょうか? 特にニッケル弦からステンレス弦に張り替えた際ですとか…。

伊藤:最初は気になりましたけど、今は僕、右手も左手も本当に力を入れないようにして弾いているんです。どこまで力を抜けるかっていう練習をしたことで、“こんなに力を抜いて大丈夫なんだ”っていうのがわかったので、あんまり触り心地とかは気にしなくなりましたね。歳を取るとそういうのが上手くなるんですよ(笑)。

 脱力するのが大事なのですね。

伊藤:音楽のスタイルによっては、マーカス・ミラーやビリー・シーンのようにブンッと弾かないとあの音にならないのもありますし、力を入れて弾かなきゃいけない場面もあるんですけど、僕はできるだけ脱力して…、“脱力しているのになんて音がするんだ!”っていうのが理想なんです。

 どうしてもステンレスの弦は、触り心地が気になるという声をいただくことがあるんですよね。

伊藤:それは力が入り過ぎているのかもしれませんね。あとは弦潤滑剤を使うと良いかなと思います。

 なるほど…。あと、伊藤さんにはRS66LDの他に少しゲージが細いステンレス弦のSM66(40/60/80/100)も愛用いただいていますが、こちらはどのように使い分けているんですか?

伊藤:細い方のSM66は、リッケンバッカーのベースに張っています。リッケンバッカーはトラスロッドが2本入っていてちょっと扱いが難しく、ネックが反ってしまうんですよ。でも僕はバランスを取るために、弦を絶対に緩めないんです。それで色々と調べたら、実はポール・マッカートニーもクリス・スクワイアも細い弦を張っていたっていう。リッケンバッカーの出荷時の弦も細かったみたいで、それで色々試してみたところ、このSM66がピッタリだったんです。だから、ベースによってゲージを使い分けていますね。他に持っている4弦ベースには全部RS66LDを張っているんですけど、リッケンバッカーだけはSM66を張っています。

 ベースに合わせて使い分けているのですね。ネックの問題も改善されましたか?

伊藤:はい、今は何ともないです。だから、リッケンバッカーのユーザーにはこのSM66のゲージを勧めますね。

タイトルとURLをコピーしました