Interview ~ 山本征史 愛用弦紹介

Rotosound

 豊富なラインナップを誇るロトサウンドのベース弦を数多く試したことがあり、弦への造詣も深いベーシストの山本征史(amber lumber / Akira-Evolution / 夜叉)に、ロトサウンドの魅力を語ってもらった。

 山本はamber lumberで主にフレットレスのアコースティック・ベースにブロンズ弦のRS44LCを張って使用しており、これまでにブランド問わず様々な素材・ゲージの弦を試してきたという。そんな山本のマニアックな弦トークは必見だ。弦にこだわるベーシストは要チェック!

ロトサウンドには共通の周波数の美意識みたいなものがある

 愛用しているモデルについて教えてください。

 そうですね…ラインナップの端から端まで使わせていただいているんですけど…(笑)。基本、アコースティック・ベースはフォスファーブロンズの40-100ゲージのRS44LCを張って使っています。フォスファーブロンズには40/60/80/110(RS44LC)と45/65/85/105(RS44LD)の2種類のゲージがあって、両方試してみたところ細い弦の方がタッチに忠実というか、丁寧に弾かないといけないんですけど、そっちの方が面白いんです。太い弦の方が割と雑に弾いても均一になる感じではあるんですけど、細い弦の方が今自分の中では旬で、面白くて使っていますね。

 ロトサウンドの弦とはどのように出会われたのですか?

 当時僕が京都の高校生だった頃、楽器屋に行っても国産メーカーの弦かロトサウンドしかなくて、他の海外産の弦はほとんど置いていなかったんですよ。ロトサウンドは輸入弦だから当然高いじゃないですか。でも、やっぱり試したいじゃないですか。それで新聞配達をしてお金を貯めて、“ここぞ!”という時はロトサウンドの弦を買って使うっていうことをしていました。当時はオレンジ色の紙のパッケージで、マイケル・アンソニーが裏表紙になっていましたね。それを高校生の時に使っていました。普段は国産の安い弦を使って、ライブとか自分にご褒美っていう時はロトサウンドを使っていました。高いので頻繁には替えられないから、傷んでくるとそれを茹でて使ったりとか(笑)。

 よく聞く都市伝説ですね(笑)。では本格的にロトサウンドの弦を使い始めたのは…。

 1年ほど前からですね。(神田商会に)声を掛けてもらったのをきっかけに。ちょうどブロンズ弦を色々と試していたんですけど、ロトサウンドのブロンズ弦は試したことがなかったんですよ。それで試してみたら、本当に一番良かったんです。

 山本さんはこれまでに色々なブランドの弦を試されてきたかと思いますが、ロトサウンドを採用した決め手は何でしょうか?

 フォスファーブロンズの弦に関しては、指の滑り・止まり具合が一番良かったんです。フレットレスを使うにあたって、ブロンズ弦ってどうしてもちょっと滑りが悪いのが多くて、それを解消するためにコーティングされているのもあるんですけど、コーティングされていると滑り過ぎることがあるんですよね。コーティングされていないのはすごく滑りが悪いし、めちゃめちゃ指が汚れるんです、アコギの弦と同じで。でもロトサウンドの弦は指が汚れないのと、何より音ももちろん大事なんですけど、触感ですね。触った感じが良いと思います。

 触った感じですか。

 ピタッとね。行き過ぎるとか、何か足りないとか、今まで(他の弦で)感じていたことがあまりないですね。チューニングも狂いにくいですしね。僕は今、40-100のゲージを使っているんですけど、アコースティック・ベースではそんなに低音を出さなくて良いので4弦に105や110を張る必要はあまりないと思いますが、たまにレコーディングで元気な曲を録りたい時は45-105を張ったりもします。

 楽曲によってゲージも使い分けているんですね。

 変えます。同じアコースティック・ベースを2本持っていて、昔は1本に40-100、もう1本に45-105を張っていたんですけど、やっぱり細い方が弾いていて面白いから今は両方とも細い弦にしています。でも太い弦も、一度張ったものを外して置いておいて、レコーディングの時に曲のイメージに合わせて張り替えたりもしていますね。

 弦を決める上で、触感は最も重要視するポイントですか?

 難しい、音質か触感かと言われたらどっちもなんですけど…。僕はステンレスの弦の触った感じがちょっと苦手で、でも音はめちゃめちゃ好きなんですよ。だから、触感の方を大事にしているかもしれないですね。でも、音ももちろん同じくらい重要なところだと思います。

 ステンレス弦の触り心地は苦手ですか…。それでも音には魅力を感じていただいているのですね!

 ロトサウンドには共通の周波数の美意識みたいなものがあるのかなと思います。僕はamber lumberというデュオで、アコースティック・ギターとアコースティック・ベースの2人でやらせてもらっているんですけど、アコギを弾いている相方にもロトサウンドの弦を試してもらったことがあるんですよ。まずピッチが狂わないことが素晴らしいのと、ギターをバンと弾いた時に出る音の煌びやかな部分が、ベース弦と共通のところが出るんです。メーカーの美意識みたいなものが、ギター弦にもベース弦にもどちらにもある感じがしました。あと、ベース弦もアコギ弦もフルレンジで全部が出るんじゃなくて、出るところと出ないところがすごくあるっていう印象です。欲しいところが出ていて、いらないところは出ないんですよ。

 なるほど…。

 それがロトサウンドの特徴かなって思います。その音が好きかどうかだとは思うんですけど。僕は60~70年代のブリティッシュ・ロックのバンドが一番好きなんですけど、やっぱりステンレスの弦は特にあの時代の音がするから、あの音が好きだったら絶対張るべきだと思います。他のメーカーでは絶対に出ない音なので。

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