Interview ~ 高野 哲 愛用機材紹介

D’Angelico

 ZIGZOやnil、THE JUNEJULYAUGUST、THE BLACK COMET CLUB BAND、DISCO VOLANTEのボーカル&ギターとして活躍しながら、弾き語りやソロ活動も精力的に行う高野 哲。彼は、ニューヨーク発の現行D’Angelicoが神田商会での取扱いを開始した当初から同ブランドのギターに関心を寄せており、現在はソリッド・モデルのDeluxe Ludlow、Deluxe Atlanticからセミホロー・ボディのPremier Mini DC、エレクトリック・アコースティック・ギターのPremier Gramercyまで幅広く使用している。
 今回は、そんなD’Angelicoギターの愛用者である高野に愛機の魅力をたっぷりと語ってもらうと同時に、併せて愛用しているLM Productsのギター・ストラップについても話を訊いた。

高野 哲

このAtlanticが持つ雰囲気が、ちょうどZIGZOというバンドが原点回帰していることにピッタリきた感じでしたね

 神田商会がD’Angelicoの日本での取扱いを開始した際、高野さんにはすぐに関心を寄せていただきましたが、D’Angelicoのどういったところに興味をお持ちいただいたのでしょうか?

 今使っているDeluxe Atlantic Limited Edition Matte Walnutを神田商会のホームページで見つけてしまいまして(笑)。

 見つけてしまいましたか(笑)。

 神田商会には昔からGrecoやZEMAITISのことでお世話になっているので、楽器のことで何か“どうしようかな”と思うことがあるとホームページを見たりするんですけど、ちょうどD’Angelicoの取扱いが始まってすぐくらいの時に、ZEMAITIS関係で探し物があって神田商会のホームページをチェックしたんですよ。そしたらサイトのトップにこのギター(Deluxe Atlantic Limited Edition Matte Walnut)が出てきて、“何だこれ!?”と思いまして。それですぐ神田商会のスタッフに“これ何!? すごい良いじゃん!”って連絡しました。
 僕は新品より人の手垢が付いているようなものが好きなんです。例えば服だったら古着の方が好きだし、ギターも新品よりヴィンテージ・ギターの見た目や音色に良い意味での重たさや重厚感、温もりを感じて、そういうのが良いなぁと思っていて。このD’Angelicoのギターはヴィンテージではないんですけど、(ホームページで)パッと見た時に何かそういう温もりを感じて“何これ?”と。実はD’Angelicoというブランド自体知らなかったんです。

 そうだったんですね。

 そしたらD’Angelicoには90年以上の歴史があって、ヘッドの形やアールデコ調のデザインがそういった当時の面影を残しているって聞いて、“なるほどな~”と思いました。自分が良いなと思うものが、サイトに載っていたAtlanticの写真1枚に詰まっていたんです。それで“ちょっと弾いてみたい”と言って。それが始まりでしたね。

 それでAtlanticを最初に手にしていただいたのですね。

 それが2020年の頭ぐらいだったと思います。その後、このギターをZIGZOのツアーに持ち回りました。ZIGZOとしてメンバーが腰を据えて音楽を演るようになってから、特にドラムのSAKURAがヴィンテージ・サウンドを追求しだしたんですけど、それにすごく合っていたんです。やっぱり新品なので若い音がするんですけど、このAtlanticが持つ雰囲気が、ちょうどZIGZOというバンドが原点回帰していることにピッタリきた感じでしたね。細部には割と最新の仕様が盛り込まれているんですけど、表にはちゃんと伝統が残っていて。そういうのも良いなぁと思いました。

 バンドの方向性とも合致したんですね。

 そうですね。自分が音楽やロック・バンドをやっていく上で、近年は“どっしり構えてやるぞ”っていう風になっているんですけど、そこにピッタリとハマりました。相性が良かったですね。

 Atlanticの次に手にしたモデルはどちらでしょうか?

 次はPremier Mini DC Ocean TurquoiseとDeluxe Ludlow Limited Edition Matte Wineが同時でしたね。それと、Premier DC Stairstep Ocean Turquoiseもその時に一緒に試させてもらって、DISCO VOLANTEのミュージック・ビデオで使わせてもらいました。DCとMini DC、どちらも弾かせてもらって、最終的にMini DCの方が良いと思いまして。

 それで今、Mini DCを使用していただいているのですね。

 DISCO VOLANTEではMini DCがメインですね。セミアコは元々335をずっと使っていて、セミアコ・タイプのギターには慣れ親しんでいたんです。なので、DCは335とほぼ同じサイズなのもあり慣れていたんですけど、このMini DCを持った時に新たな出会いを感じまして。セミアコ・タイプのギターでミニサイズのものをあまり知らなかったんです。きっと元々あったんでしょうけど、僕の周りでは見たことがなかったので、“これは新しい出会いだ”と思いました。それと、DISCO VOLANTEというバンドを新しく立ち上げる時に“何か良い相方が欲しいな”と思っていたので、“これ良いなぁ”と。それでLudlowも同時に手にしました。でも、Ludlowって今は作っていないんでしたっけ?

 そうですね…、今は生産終了してしまっています。

 もったいない!

 独特な見た目でユニークなモデルなのですが…。

 ね、すごく良いのに。一目惚れでしたよ。先程ヴィンテージという話を出しましたけど、昔からちょっと変わった形のモデルってずっとありましたし、Ludlowはそちらの系統もありながら、しっかりとD’Angelicoでもあるという。かつ、ワルい音がしそうだなと思ったんですよ、不良というか…。ワルいとかエロいとか、そういうものを感じて、これは絶対良いと思いました。Atlanticとピックアップも同じですし、シリーズとしても一緒なのでサウンドも近いんですけど、やっぱり自分が最初に抱いた印象って結構変わらなくて、“ワルくてエロい音がしそう”っていうイメージのまま持つから、自分の中でそういう音に感じるんですよね。そうすると、実際にその音が出てくるもので。“ロックは勘違いの積み重ね”って、僕の友達が言っていた名言なんですけど(笑)。“みんなで思い込んでいくことで、ロックは完成していく”っていうことを友達が言っていて、僕もすごく共感したんです。だから仕様が同じだとしても、持った本人の印象が反映されて、そういう音が出るんだろうなっていう気がしていますね。

 ちなみに変わったシェイプですが、演奏性はいかがですか?

 全然、弾き辛いということもないですよ。

タイトルとURLをコピーしました