Interview ~ 山本征史 愛用弦紹介

芯の部分は張り立ての時も古くなってからもしっかりあるので、曇っていかないんです

 ところで山本さんはどれくらいの頻度で弦を張り替えますか?

 今までアコベの弦は1、2年張り替えなかったんですけど、ロトサウンドにしてからアコベもエレキも張り立ての音の素晴らしさに気付いて、そこを好きになっちゃうともう堪らなくて(笑)。最近はアコベの弦でも3か月に1回くらいは替えていますね。メタル・バンドで演る時とか、エレキのバンドの時はライブの度に替えることもあります。ただ、それもサウンドによるんですけど、メタルじゃなくて歌もののバンドだったら、わざと使い込んだ古い弦に張り直すこともあります。ジャンルにもよると思いますね。

 古い弦に張り直すこともあるんですか。

 ロトサウンドは芯の音がちゃんとあるんですよね。ラウンドの部分の煌びやかさは手垢とかで減っていくんですけど、芯の部分は張り立ての時も古くなってからもしっかりあるので、曇っていかないんです。

 芯の部分の音は、弦を使い込んでもしっかりと残っているんですね。ところで山本さんには、かなりの種類のロトサウンドのベース弦を試していただいたことがあるかと思うのですが、それぞれの印象についてお伺いできればと思います。まずフラットワウンド弦はいかがでしょうか?

 ちょうど最近フラットワウンド弦も試させてもらっていて、プレベにフラットワウンドの40/60/80/100(SM77)を張っているんですよ。シグネチャー・セットを出しているスティーヴ・ハリスって、すごく太いゲージ(SH77…50/75/95/110)を使っているじゃないですか。でも、フラットワウンドの40-100ゲージをプレベに張った途端に、細い弦なんですけどスティーヴ・ハリスと同じ倍音が出たんです。他社のフラットワウンド弦も相当試しましたけど、あの音が出るのはロトサウンドだけですね。だからアイアン・メイデンが好きでプレベを持っている人は、絶対に張った方が良いと思います。張り立ての時に、特にスティーヴ・ハリスの音が出ますね。

 ちなみに、エレキベースを弾く時はどの弦をメインで使用しているんですか?

 何でしょう、バンドによっても違ってきますので…。ニッケルのRS66LNが基本的には好きですけど、メタルには飾り糸のないニッケルのRoto Bassの方が向いているので、最近メタルの現場が多いからRoto Bassをよく使いますね。メタルでは45-105(45/65/85/105)のRB45に落ち着きつつあります。やっぱりメタルって動くので、繊細なピッキングと言うよりは下半身を使って音を出すような感じで、ある程度荒れたピッキングをしてもブレない太さがあった方が良いんです。45-105くらいがちょうど良いかなと思っているところです。ただベースも色々変えながらやっているので、ベースによって合うゲージも違ったりして、無限ループです(笑)。

 Swing Bass 66のステンレス弦はいかがでしょうか。

 今のところ4弦ベースではそんなに使っていないですね。8弦ベースにはステンレス弦を張っているんですけど、最近あまり8弦ベースを使うことがないので…。ただ音はカッコいいので、レコーディングする機会があったら早く録りたいなと思っています。

 ニッケル弦にはどういった印象を持っていますか?

 先程も言いましたが、やっぱりロトサウンドの独特のEQと言うか、“良いところ”が出ていて“いらないところ”は出ていないっていう音の印象は、ニッケルにもステンレスにもあります。他社の弦から移るとしたら、ニッケルから入った方がなだらかに移って来られるかとは思いますが、よりロトサウンドらしい音にしたい人はステンレスから入る方が良いと思いますね。

 弦の素材が変わっても、ロトサウンド独特の音の感じというのは共通している印象でしょうか?

 モネル素材のフラットワウンド弦も、他社のフラットワウンドとは全然違いますしね。面白い音がするなって思いました。スティーヴ・ハリスがこの弦を使うのもわかりますね。

 プレッシャーワウンドのSolo Bass 55はいかがですか?

 プレッシャーワウンドは僕、結構好きです。ステンレス素材の固い感じがあまりなくて、柔らかい感じなので触感的に良いですね。ステンレス弦を触った時のギザギザの感じが僕はちょっと苦手なんですけど、それがプレッシャーワウンドだとないので。でも音はステンレスの良い部分がありつつ、中低域の粘りみたいなものもあって、ちょっとだけEQの具合もSwing Bass 66とは違う感じです。

 あとはアコースティック・ベースにブラック・ナイロンのTru Bass 88を張って使用されることもあるそうですが、どういった印象を持たれましたか?

 ブラック・ナイロンも良いですよ。ただ、この弦に関してはロトサウンド独特のEQの感じはなくて、異質のものですね。ブラック・ナイロンも色々なメーカーのものを試したんですけど、ロトサウンドはかなり良いですね。触感もすごくスムースです。メーカーによっては滑りが悪いものや、ナイロンと言いながらプラスティックみたいなものもあるんですよ。そういう嫌な感じがTru Bass 88にはなく、触感がすごくスムースで音も太くて柔らかくて、好きですよ。

 ブラック・ナイロン弦だと音圧が下がることはないんですか?

 全然下がることはないですよ。エレキに張ってもすごくカッコいい音がしますし。僕にはロトサウンドのブラック・ナイロン弦しか張らないと言っているプレベ使いの友達がいて、その人はピック弾きなんですけど、ラウンドワウンド弦を張った時のギャリギャリするような音は出ないんですがずっと芯に当たり続けるような音がして、僕はその音がすごく好きなんです。エレキにも向いている弦だと思いますね。ただゲージが65/75/100/115と太いので、どうしてもナットやブリッジを加工しないといけない可能性はあるのですが…。

タイトルとURLをコピーしました