Interview ~ 高野 哲 愛用機材紹介

見た目の美しさの強みをすごく持っているんじゃないかな

 そうなのですね。話が少し戻りますが、Mini DCのOcean Turquoiseカラーを選ばれたのはどうしてだったんですか?

 ターコイズが昔から好きなんですよ。12月の誕生石なので。それで、こういう色が割と好きで。

 なるほど! Ocean Turquoiseはセミアコ・タイプのギターとしては珍しい部類のカラーかと思いますので、お聞きしてみたかったんです。

 1950~60年代のキャデラックのボディーの色ですとか、そういうイメージを感じますよね。ギターと車って、嗜好性が似ているので。未来を目指すものは流線形になっていったり、逆に無骨な時代のデザインを残す人達もいますしね。

 確かに、車のような雰囲気も感じるかもしれません。先程、元々は335を使っていたと仰っていましたが、でしたらMini DCはかなり小さく感じたのではないですか?

 すごく小さいですね。まぁ別物と言えば別物ですけど、やっぱりセミアコですので、箱っぽい感じで使いますし。僕はピックアップをフロントとリア両方とも鳴らしてボリュームで音色を変えていくんですけど、その辺はMini DCも箱モノらしく繊細ですし…。あと、軽いのが良い。重いともう、肩が痛くて(笑)。

 大事ですね(笑)。ちなみにアコースティック・ギターのPremier Gramercy Trans Black Cherry Burstはどういった経緯で手にされたんですか?

 神田商会のスタッフから“ありますよ”って教えてもらって(笑)。DISCO VOLANTEはD’Angelicoのイメージで固めてしまおうということで。やっぱりこのヘッドが良いでしょ? ただこのモデルはバインディングが白ですけど、これはもうちょっと日焼けしてほしいなと思っています。実は一度マッキーで塗ろうとして、辞めた跡があります(笑)。

 (笑)。カッタウェイ付きのPremier Gramercyを選んでいただいたのは?

 カッタウェイ付きの方が好きなので。ロック・バンドでアコースティックの時って、特にソロとかもないのでカッタウェイ付きである必要はないんですけど、カッタウェイの分、木がないじゃないですか。だから軽い(笑)。

 そこですか(笑)! 現在お持ちのモデルはそれぞれシリーズや種類も異なりますが、トータルしてD’Angelicoの特徴はどういったところにあると思いますか?

 ギターの話でこんなことを言うとおかしいかもしれませんが、見た目がすごく重要なブランドだと思うんですよ。このギターに対して“これ良いじゃん!”って思った人が選んで弾くと、その人の思い込みがちゃんと出てくるというか、見た目の個性がすごく強くて素晴らしいので、弾く人によって印象が変わっていくんだと思います。僕は“ワルいな”とか“エロいな、ズルいな”“カワイイな”っていう印象を持ってこのギター達を選びましたが、人によってそれは違うかもしれないので。それはそれでその人がどういう印象を持つのかわからないですけど、この個性があった上で何か想いを抱いて弾いたら、その人の思い込みの音が出るような気がします。そういう見た目の美しさの強みをすごく持っているんじゃないかなと。他のブランドではあまりないと思いますよ。

 ちなみに各モデルの使い分けはどのようにされていますか?

 バンドごとの使い分けで言うと、DISCO VOLANTEでは基本D’Angelicoしか使わないと決めています。

 AtlanticはZIGZOで使われているイメージがあります。

 ZIGZOとTHE BLACK COMET CLUB BANDでも使っています。気分と言えば気分なんですけどね。その時の思い込みとか、“この曲の相棒はアイツでしょ”みたいな、そういうのが決め手になっています。僕はライブで1曲ごとにギターを持ち替えるのはあまり好きじゃなくて、4~5曲演ってから持ち替えるんですけど、例えばその4~5曲の中でメインになる曲がLudlowと合う曲だったら周りもそういう曲で固めていったり、曲順すら左右することもあります。レコーディングでも実際に使っているんですけど、レコーディングの時はライブのことまでは考えていなくて、音が全てなんです。録って、スピーカーから聴こえる音で判断するので、そうするともっと冷静に楽曲のためにギター選びをするんですけど。仕上がった曲を聴きながら“ライブはこのギターだな”って考えていますね。メンバーもわかってくれているので。先日、“たまには”と思ってメンバーにセットリストを作ってもらったら、それを理解した曲順が出てきたんですよ。

 メンバーの中でも楽曲とギターのイメージがリンクしているんですね!

 そうだと思います。D’Angelicoの場合は、特にわかりやすく理解してくれている気がしますね。以前、撮影用にD’Angelicoのギターを4本スタジオで並べたことがあるんですけど、ケースを開けた瞬間にメンバーが“カッケェ~!”って、良いおじさん達が皆で言っていました(笑)。

 (笑)、ありがとうございます! ところで今お手元にある4本のうち、特にお気に入りのモデルを1本選ぶとしたらどちらになりますか?

 Mini DCかな。まだまだ良い音がする筈なんですよ。

 と、言いますと?

 “もうちょっと来いよ”みたいな感じで、調教しているイメージです。このギターはまだ育ち切っていない感じがするんですよね。LudlowとAtlanticはもう仕上がっているので、むしろ僕がちゃんと弾けなかった時は申し訳ない気持ちになったりする(笑)。でも、Mini DCは“いやお前、まだまだそんなもんじゃないでしょ?”っていう感じで、一緒に頑張っているみたいな。

 意外です!

 まぁ、軽いからっていうのもあるかもしれないですけど(笑)。Mini DCに関しては倉庫や車の中に置いておかないで、ツアー中もホテルの部屋に持っていきますし、普段も自分の部屋に置いています。何でしょうね…なんか不思議と。魅力を感じています。

 では、この中で一番よく弾いているのもMini DCなんですね。

 そうですね。家でポロンと弾いている時はMini DCです。LudlowとAtlanticは仕上がっているので、放っておいても大丈夫なんです(笑)。

 そうなのですね(笑)。では改めて、D’Angelicoの魅力をお願いします!

 やっぱり、この見た目の美しさでしょうね。それが全てじゃないかな。ギターって部屋に置いてあってもカッコいいですし、お店や飲み屋さんにあってもそれだけでカッコよくて。家具のように部屋に馴染んだり、人間がいる空間に馴染むようなイメージがあるんですけど、本当にあるだけでカッコいいんです。

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